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皆でかなえる、皆で繋がる
「人間の死に方〜医者だった父の、多くを望まない最期」を読んで
春はもうすぐと期待しながらもまだまだ寒い日が続いていますが、
皆様いかがお過ごしでしょうか。作業療法士の永吉琢也です。
今回のブログでは、大阪府堺市在住の小説家であり
高齢者医療に携わる現役医師でもある久坂部羊氏の著書
「人間の死に方〜医者だった父の、多くを望まない最期」を
紹介したいと思います。

日々訪問リハビリの仕事で高齢者と接していると、
たとえば自宅で寝たきりの生活となっている方から以下のような言葉を
投げかけられることがよくあります。
「もう充分に生きた。あの世から早ようお迎え来えへんかな」
大抵の場合、リハビリを導入することで少しでも動いてくれたらという
お気持ちのご家族から、
「何言うてんの!リハビリ頑張って起きれるようにならんとあかん」
などと叱咤されたりしています。
確かに私の仕事はそういう方々に活動意欲を持って動いてもらう
お手伝いをすることなので、今までは次のように返していました。
「いろんな方を見てきましたが、そんな風におっしゃる方ほど長生きしてますよ」
「とりあえず少しずつ体動かしていきましょうか」
でも、果たしてそんな返答が正しいのか。
最近少なからず疑問を感じるようになりました。

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今回紹介するこの本には、医師だった父を介護し在宅で看取るまでの日常が
書かれています。ユーモラスな語り口の中に、介護する家族の大変さや苦しみも
包み隠さず表現されており、著者が高齢者医療に携わっている現役医師だけに、
高齢者自身の気持ち、家族の心情、終末期に施される延命治療への疑問なども、
リアルに記されています。

たとえば文中には以下のような一節があります。
父はよく、人間の死は飛行機の着陸に似ていると言っていた。高齢者が食欲をなくすのは、飛行機が徐々に高度を下げていくのと同じだというのだ。徐々に下げるから、静かに着陸できる。ところが、医療はそれを無理やり持ち上げようとする。だから、ドスンと墜落するのだと。

著者の父は元医師でありながら、終末期においても多くを望まず
医療嫌いを徹底しています。いや、元医師だからこそ医療の限界を知り、
足るを知っていたのかもしれません。
「少欲知足」「莫妄想」「無為自然」「先手必敗」
このお父さんの考え方に感銘を受けました。
息子さん(著者)も現役医師だったからこそできたこともあるでしょうが、
「死」を迎えるということへの気持ちの準備を教えてくれる一冊です。

「あの世から早ようお迎え来えへんかな」という高齢者の言葉に対する返答の
正解は私には未だ見えませんが、少なくとも「無理に頑張ることを押し付けない」
ような返答ができたら良いなと思っています。


作業療法士  永吉 琢也

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